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被爆の悲惨さ 紙芝居に 岩国の山田さん 杭名小児童に初披露 「なぜ戦争 考えて」

 10歳の時に広島で被爆した山田英子さん(80)=岩国市天尾=が、70年前の体験を紙芝居にした。28日に同市杭名の杭名小を訪れ、5、6年生25人に初めて披露。「戦争がどんなに悲惨かを知り、次の世代に伝えてほしい」と呼び掛けた。(増田咲子)

 タイトルは「英ちゃんと原爆」。当時、父の仕事の関係で広島市矢賀町(現東区)に住んでいた。原爆投下時は佐伯郡河内村(現佐伯区)に疎開。原爆の衝撃は大きく、村の学校のガラスが壊れるほどだった。きのこ雲が見え、爆風で吹き飛ばされた紙切れが空から降ってきた。焼け焦げた死体も運ばれて来たという。

 山田さんはその後、市内に戻った。両親は無事だったが、原爆で親を亡くした同級生は飢えに苦しんだという。水彩で描いた20枚の紙芝居を紹介し、「戦争は罪のない人を痛めつける。なぜ戦争になったのか、よく勉強してほしい」と訴えた。5年下田陽貴(はるき)君(10)は「原爆の被害に驚いた。戦争が起きないようにしたい」と話していた。

 山田さんは岩国市原爆被害者の会の理事を務め、市内の学校で証言活動に取り組んでいる。「子どもたちに分かりやすいように」と、9月から紙芝居作りを始めた。今後も、学校などで披露する。

(2015年9月29日朝刊掲載)

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