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避難計画 30キロ圏対象に 島根県検討 原発防災域拡大受け

 島根県は21日、中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)の事故を想定した住民の避難計画について、原発から30キロ圏内を対象に検討する考えを明らかにした。これまでは、福島第1原発事故で「警戒区域」となり、住民が避難した20キロ圏内を対象としていた。

 原子力安全委員会が20日、原発事故に備えて防災対策を充実する地域を30キロ圏に拡大し、「緊急防護措置区域」(UPZ)とする見直し案を示したのに対応した形だ。

 島根原発の20キロ圏の住民は約25万人だが、30キロ圏では約46万人に膨らむ。県総務部の細田晃参事は「20キロ圏での考え方を30キロ圏に適用する。新たに避難先や受け入れ施設を探す必要がある」と述べた。

 この日、松江市内で鳥取県と原発30キロ圏内の両県6市と原子力防災連絡会議の作業部会を開催。20キロ圏を前提にした現行計画に対し、周辺市から批判が続出。安来、米子、雲南市が「30キロ圏を対象とすべきだ」と求めた。

 鳥取県は現在、30キロ圏内を対象とした避難計画を策定中で、「調整が必要」とした。

 これに対し、島根県側は「国の詳細な方針次第となるが、30キロ圏の避難も検討する」と答えた。

 原発事故を想定した住民の避難訓練についても、鳥取県、周辺6市とともに共同で実施する方針を確認した。

 一方、見直し案では、原発から5キロ圏が、ただちに避難する必要のある「予防防護措置区域」(PAZ)に設定された。松江市鹿島町などがエリアとなる市原子力安全対策課の小川真課長は「5キロ圏には約1万人が暮らす。一斉に避難できるよう情報伝達や移動手段を見直す必要が出てくる」とみている。(樋口浩二、川上裕)

(2011年10月22日朝刊掲載)

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