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取り消し請求 棄却 広島高裁 岩国の愛宕山訴訟

 岩国市愛宕山地区の住宅市街地開発事業の認可を国が取り消したのは違法として、周辺住民が国に処分取り消しなどを求めた訴訟の控訴審の判決が7日、広島高裁であった。野々上友之裁判長は、原告適格を認めなかった一審広島地裁判決を支持し、原告側の控訴を棄却した。

 同事業の跡地は、米海兵隊岩国基地への空母艦載機移転計画に伴う米軍住宅の建設予定地になっている。野々上裁判長は「跡地が米軍住宅などに利用されることが、平和的生存権を侵害するとはいえない」などと判断した。原告が求めた損害賠償についても、「認可の取り消しは公益上の必要性があり、裁量権の逸脱や乱用もない」と退けた。

 原告側の山田延広弁護団長は「行政訴訟の窓口を閉じる判決で、国民の司法への期待を裏切る結果。上告を検討したい」と話した。中国地方整備局は「国側の主張が認められたと考えている。今後とも適切な事業認可手続きに努めたい」とのコメントを出した。

 訴状などによると、事業は山口県住宅供給公社が1998年に始めたが、需要が見込めないとして2008年に認可の取り消しを申請。同整備局が09年に取り消した。跡地は12年に国が購入し、米軍住宅の建設に向けた工事が進んでいる。原告側は建設に反対する目的などで提訴していた。(浜村満大)

(2015年10月8日朝刊掲載)

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