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自分史で示す戦争の悲劇 初代安佐北区長の湯山さん自費出版 「若者が平和考える契機に」 広島

 広島市の初代安佐北区長を務めた安佐北区安佐町飯室の湯山清さん(94)が、戦時中や終戦直後の混乱などを書いた自叙伝「一銭五厘の大和魂」を自費出版した。

 湯山さんは1942年、21歳のころ陸軍に入隊し、最前線で中国との戦闘や警備に携わった。銃弾を受け「お母さん」と言い残して息絶えた友人の無念さなどを記している。

 本土決戦に備え、帰国途中だった韓国・釜山で終戦を迎えた。「敗戦の軍隊は放心状態だった」と振り返る。飯室村役場書記などを経て、1980年度に初代安佐北区長を務めた様子も写真入りで紹介した。

 戦争体験を後世に残そうと、2010年に執筆を始め、5年がかりで書き終えた。タイトルは当時のはがきの郵送料から付けた。召集令状を連想してもらうためという。A5判、241ページ。約110部を印刷し、区内の公民館や近くの小中学校に無料で配った。

 湯山さんは「繰り返してはならない歴史。戦争を知らない若い世代に平和について考えてほしい」と話している。(中川雅晴)

(2015年10月10日朝刊掲載)

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