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[あしたを紡ぐ] 国際貢献 安全の心構え 広島 学生8団体が「新人宣言」

 途上国支援や異文化交流に励む広島市立大や広島大など広島県内の学生ボランティア8団体が今夏、活動への熱意や安全対策への心構えをまとめた。名付けて「ルーキーズ宣言」。国際貢献の「新人選手」としての姿勢を示そうと考えた。仕掛け人は広島大4年赤沢直樹さん(22)=東広島市。

 国際協力系の学生団体は中国地方に約30ある。赤沢さんはそのネットワークづくりを進める「学生NGOラルモニー」の代表だ。途上国に分け入り、就業支援や孤児との交流などに取り組む学生たちはことし、逆風にさらされたという。1月に表面化した中東の過激派組織による日本人人質事件、海外で多発するテロ…。渡航の安全性を問われた。

 活動には一定の資金やノウハウを要し、民間団体や地元企業などの助言・協賛を得ることが多い。勝手な振る舞いをすれば支援者に迷惑が掛かる。メンバーには未成年もおり、保護者たち大人の理解も欠かせない。「信頼を得るには未熟さを認め、問題意識を高める工夫がいる」と考えた。

 呼び掛けに応じた5大学の25人で1泊2日の討議合宿に臨んだ。国際協力機構中国国際センター(JICA中国)の助言も受け、日本大使館の所在地を確かめる▽日中に現地到着して夜間の外出を控える―などの危険を減らす行動を学習。「できること・もっているものを最大限に活用し、安全対策に取り組みます」との一文を盛り込んだ。

 「学生が危険を冒してまでしなくても」と、たしなめられることもある。しかし赤沢さんは「支援の成果は微々たるものかもしれないが、若いうちに貧困や難民問題などの現状を学ぶことに価値がある」と強調する。

 地域社会や国際情勢に無関心―。意見を持ち、行動力のある仲間の存在を知ればこそ、そんな若者評も気に掛かる。宣言には、中国地方に点在する若い力の「見える化」を図る狙いもある。11月に広島市である国際協力イベントで、学生の思いをトークや歌で表現する企画も準備する。「世界を良くしたいとの気持ちを集め、地方発のうねりを生みたい」(奥田美奈子)

「ルーキーズ宣言」参加団体

学生国際協力NGO FEST-HIROSHIMA
学生ボランティア団体OPERATIONつながり海外事業部
学生国際協力団体Liaison
Smiles Production
study for two福山大学支部
アイセック広島委員会
Habitat for Humanity 広島学生支部Groove
学生NGOラルモニー

(2015年10月14日セレクト掲載)

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