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原爆報道 変遷追い栄誉 元NHKディレクター・小河原さん 山梨自分史大賞の最優秀文化賞受賞 

 元NHKディレクターの小河原正己さん(75)=東京都世田谷区=の著作「ヒロシマはどう記録されたか」(朝日文庫)が、山梨自分史大賞(主催・山梨自分史の会)の最優秀文化賞を受賞した。広島放送局時代の自らの取材経験を含め、NHKと中国新聞の原爆報道の変遷をまとめた点が評価された。

 山梨自分史大賞は山梨県在住または同県出身者が対象で、小河原さんは甲府市出身。応募理由について、小河原さんは「取材の原動力は、5歳で体験した甲府空襲だった」と振り返る。広島に着任した1979年、原爆資料館を見学すると、戦争の記憶が生々しくよみがえった。「体が震え、ここで仕事をする限り、原爆を追い続けよう」と決意した。

 以来、5年間にわたり特集番組の制作を担当。被爆当時の記者たちを取り上げた「爆心地のジャーナリスト」などの企画構成に関わった。その後しばらく遠ざかったが、約20年後の2003年、在籍していたNHK出版で「ヒロシマは―」を執筆。再び原爆報道に向き合った。昨年夏に文庫化され、03年以降の北朝鮮の核実験や東京電力福島第1原発事故も加筆した。

 小河原さんは「審査員に『初めて知ることばかり』と言われた。原爆やその報道を広く知ってもらう機会になれば、うれしい」と話している。(藤村潤平)

(2015年10月16日セレクト掲載)

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