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原爆資料館の敷地発掘へ 月内に広島市 被爆遺構など調査

 広島市は今月下旬、平和記念公園(中区)の原爆資料館本館の敷地で大規模な発掘調査を始める。1955年の開館以来、初めて。耐震補強工事を前に被爆遺構などを調べ、記録する。試掘では戦前の遺構を確認しており、原爆で壊滅した中島地区の町並みの一部が見つかる可能性が高い。

 平和記念公園は国の名勝に指定されており、発掘調査に必要な文化庁の許可が16日、下りた。

 調べるのは、高床式の本館直下の敷地全域と外周の計2200平方メートル。敷石を剝がし、その下のコンクリートと砕石を取り除いて、最大で地下約1・5メートルまで掘り下げる。委託業者が土砂を掘り出した後、11月中旬から来年3月末まで市文化財団が調査する。事業費は9800万円。

 本館がある場所は被爆前、民家や商店が立ち並んでいた。市は昨年3月とことし5月、計3カ所を試掘。被爆時の地表面を含む地層や道路の縁石、被爆瓦、陶製の瓶があったという。調査結果は報告書にまとめ、見つかった被爆資料は保管する方針でいる。

 市は現在、東館の展示スペースを閉鎖し、改装中。16年春に終了後、本館を閉じて耐震補強工事に着手し、地中の基礎部分に免震ゴムを取り付ける。市平和推進課は「資料館を後世に残すために欠かせない工事だが、地層の一部を撤去することになる。その前にしっかり記録を残したい」としている。資料館は18年春に、展示も刷新して全面オープンする。(田中美千子)

(2015年10月17日朝刊掲載)

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