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核への不安 分かち合う 東友会 福島の原発被災者訪問

 東京在住の被爆者たち約30人が21日、福島県を訪れ、東京電力福島第1原発事故の被災者と交流した。東京の被爆者団体「東友会」の被爆70年事業。原発被災者と思いを分かち合い、核の問題に向き合おうと初めて企画した。

 一行は、いわき市にある仮設住宅の集会所で、9月に避難指示が解除された楢葉町の住民たち6人と面会した。6人は「放射線量が高い場所があり、子どもたちを連れて帰れない」と、見えない放射線や今後の生活への不安を訴えた。

 被爆者は、あの日の体験を交えながら、偏見や差別にさらされた経験を紹介。「被爆の実態をどう伝えるか、今も大きな課題になっている」とし、被災住民が原発事故後の体験を記録して語り継ぐよう求める意見が出た。

 交流後、広島で被爆した水野潔子さん(87)は「核の被害を受けた者同士が、互いに勇気づけることができると感じた。今後も交流を続けられればいい」。被災者の早川千枝子さん(72)は「古里が、いつか広島、長崎のように復興できるという希望を感じた」と語った。

 福島訪問は22日まで。同日は避難区域の富岡町などを巡る。(山本和明)

(2015年10月22日朝刊掲載)

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