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漁業者題材に児童が劇 戦前 内海からフィリピン移住 内浦小 25日の文化祭で披露へ 福山

 福山市内海町の内浦小の児童が、戦前に町からフィリピンに移住した漁業者たちを題材にしたオリジナル劇を練習している。25日に同校である文化祭「うしお祭」で披露する。

 同町の田島と横島では明治後期から、漁業者たちがマニラのトンド地区を中心に出稼ぎに行き、現地で漁をするなどして生活した。終戦までに700人近くが渡ったとされる。

 劇は、成功を夢見る田島出身の兄弟と、同国に向かう船上で出会った三次市出身の青年の3人を軸に、過酷な生活、家族との離別、戦争の悲劇を描く。当時の現地の邦人排斥運動も紹介。全児童14人と教諭たち7人が約1時間熱演する。

 元教諭の峠垰(とうげだお)静恵さん(59)が、戦前に同国のダバオの日本人会専務理事を務めた祖父の実体験などを基に脚本を書いた。「田島には当時、銀行が3カ所もあったそうで、それだけ現地から家族に仕送りされていた。彼らの志や働きぶりに胸を打たれた」と話す。

 5年兼田捺未さん(11)は「家族や仲間のため、遠い国で頑張った人の思いを伝えたい」と力を込める。上演は午前10時半ごろからの予定。(渡部公揮)

(2015年10月22日朝刊掲載)

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