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上関原発計画 中止なら歳入14億円減

 中国電力が原発建設を計画する山口県上関町は22日、町執行部と町議が原発のない町づくりも考える「地域ビジョン検討会」の初会合を町役場で開いた。町は国からの原発関連交付金を見込まない財政見通しなどについて説明。福島第1原発事故を受けて国の原子力政策が揺れる中、原発がない場合を具体的に想定した初の議論がスタートした。(久保田剛)

 原発建設計画が浮上した1982年以降、計画中止を視野に入れた協議の場は初めて。柏原重海町長ら町側の15人、町議12人(推進派9、反対派3)、コンサルタント業者の計28人が出席した。

 町は原発立地に伴い国から受け取る交付金が2013年度以降は全く受け取れなくなった場合の財政規模の試算を説明。それによると、現在と同水準の行政サービスを維持した場合、同年度以降に毎年度数億円の財源不足が生じるとした。本年度当初予算で約44億円の一般会計の歳入は15年度には30億円を切るとの見方を示した。

 町が1984年度から昨年度までに受けた交付金は約45億円。使途は看護師の人件費や町営バス運行費などにも及んでいるが、福島原発の事故で来年度以降も交付されるかは不透明な状況だ。

 上関原発を含めた原発新規立地に対する国の方針決定は来年度以降になるとみられるものの、町は将来の財源をどう確保するか具体的な検討を迫られている。

 検討会は非公開。町議からは、少子高齢化が進む現状を踏まえ、定住対策や福祉サービスがどの程度影響を受けるかなどを示すよう要望があった。次回は財政見通しを踏まえて再び町議から意見を求め、今後の協議テーマなども話し合う。

 柏原町長は「財政がどう推移していくか共通認識を持ってもらうことから始めた。町民のために膝詰めで協議をする場にしたい」としている。

(2011年11月23日朝刊掲載)

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