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被爆の記憶 人類遺産に 来月 大江さんら会結成

 被爆者や作家の大江健三郎さんが呼び掛け「ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会」を来月10日に結成する。原爆被害や被爆者運動の資料を集め「平和資料センター」を設立。国内外に発信、共有し、核兵器廃絶につなげる。将来的には、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「記憶遺産」登録も視野に活動する構えだ。大江さんらが25日に都内で会見、発表した。

 会は当初3年間で被爆者らが持つ資料、体験記などを集中的に収集。特に運動を記録した文献の発掘に力を入れる。同時に広島、長崎両市の原爆資料館などとネットワークをつくり、資料と所在施設を整理、インターネット上で公開する。

 来春にNPO法人の取得を目指し、事務所は都内に置く。資金は会費のほか1億円を目標に募金を集める。基盤が整えばセンターを設立。将来は公的機関による「平和資料館」建設を求める。

 会見で、被団協の岩佐幹三代表委員は「貴重な資料を記憶遺産として生かすことが一日も早い核兵器廃絶に貢献する」。大江さんは福島第1原発事故に触れ「自分たちの問題として考えるにあたり、一番頼りになるのが被爆者として生き延び記憶し続けている人や文学化した人の仕事だ」と語った。(岡田浩平)

(2011年11月26日朝刊掲載)

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