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「叫び」届ける意欲作集う ヒロシマ平和映画祭

 戦争や貧困、性暴力など、さまざまな叫び声に耳を傾けよう―をテーマに、ヒロシマ平和映画祭が29日~12月11日、広島市内9カ所で開かれる。核政策を問う米国の短編ドキュメンタリー「AtomicMom」など広島初公開や、女性監督の意欲的な作品が目立っている。(串信考)

 新旧の約40本を上映。26日~12月9日、西区の横川シネマで、エチオピア映画「テザ 慟哭(どうこく)の大地」など2本が先行上映される。「テザ―」は、独裁政治の不条理と若者の苦悩などを描き、ベネチア映画祭で審査員特別賞などを受賞した。

 12月3~9日、中区のサロンシネマでは「いのちの子ども」。イスラエルとパレスチナの紛争下、パレスチナ人の重い病気の子どもを救うために奔走するイスラエル人医師の記録映画だ。

 映画館のほか、公共施設でも多彩に開催。西区民文化センターで3日、新聞記事を基に原発の歩みをたどる「原発切抜帖(ちょう)」、中区の原爆資料館東館メモリアルホールでは4日、「Atomic Mom」のほか、核実験の被害などに迫った「The Forgotten Bomb(忘れられた爆弾)」が目を引く。

 「Atomic―」は米国人女性のM・T・シルビア監督が、生物学者として核兵器開発に携わった母を題材に、広島の被爆者にも取材した作品。上映後、シルビア監督のトークがある。「The―」は映画祭の実行委員会が日本語字幕を製作した。

 同区の広島市映像文化ライブラリーでも7、8日、溝口健二監督「夜の女たち」「赤線地帯」など。「赤線地帯」は、国会で売春防止法が審議されていた1950年当時、売春を強いられた女性たちの悲憤をリアルに描いている。

 期間中、広島市立大では核被害や水俣病の問題を扱ったテレビドキュメンタリーなどを上映。中区のスペースZERでは「おんな・アート・なんデモフェス」がある。実行委員会の東琢磨さんTel080(6306)8689。

(2011年11月26日朝刊掲載)

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