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核被害者 実態語る 広島 世界フォーラム開幕

 世界のヒバクシャの訴えを発信し、核被害を絶つ道筋を考える「世界核被害者フォーラム」が21日、広島市中区の広島国際会議場で始まった。広島、長崎の反核市民団体が主導し、被爆70年に合わせて3日間の日程で企画。初日は核実験や原発事故、劣化ウラン弾の被害者たちが実態を訴えた。

 海外9カ国から招いた17人を含め、約300人が参加。開会式では、実行委員会の事務局長を務める「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」の森滝春子共同代表が「核利用はあらゆるサイクルで被害者を生み出し、人が安全安心に暮らす権利を踏みにじっている。共に声を上げ、核時代を終わらせたい」と問題提起した。

 被害報告は「原爆被爆」「原発事故・労働」など、5テーマ別に進めた。「ウラン採掘」では、国営ウラン鉱山を抱えるインド北東部ジャドゴダのフォトジャーナリスト、アシッシ・ビルリさん(24)が「村では、子どもの先天性疾患が目立つ。出身者というだけで結婚が難しくなっている」と明かした。

 「核実験」では、米国ネバダ州で強行された大気圏内核実験の風下地区の住民団体から、メアリー・ディクソンさん(60)=ユタ州ソルトレークシティー=が登壇。29歳で甲状腺がんを患った自身の経験を吐露し、「政府は危険性を隠し、住民を放射線にさらした。過ちが繰り返されないよう、核被害者が連携を」と訴えた。劣化ウラン弾の被害者を診るイラク人医師や、福島第1原発事故の被災者の報告も続いた。

 22日は放射線の健康影響や核兵器禁止の可能性などを討議。最終日に「世界放射線被害者人権憲章」を採択する。(田中美千子)

(2015年11月22日朝刊掲載)

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