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世界に羽ばたく折り鶴名刺 スペイン大使館参事官 使用 交換時 禎子さんを紹介

 折り鶴再生紙でヒロシマの思いをスペインへ―。平和記念公園(広島市中区)にある原爆の子の像などにささげられた折り鶴の再生紙で作った名刺が、スペイン大使館(東京)の文化担当参事官の元に届けられた。参事官は、仕事で初めて会った人にこの名刺を渡す際、原爆の子の像のモデルになった佐々木禎子さんのエピソードを説明し、共感を得られているという。(二井理江)

 贈ったのは、紙流通業の木野川紙業(広島市西区)。同社と、折り鶴再生紙を作っている富士共和製紙(静岡県富士市)の社長が9月下旬、スペイン大使館を訪ねたのがきっかけだった。来年春に静岡市で開かれる予定の「日本・スペイン・シンポジウム」で、折り鶴再生紙を使った折り紙を活用できないか相談するためだった。

 文化担当のサンティアゴ・エレロアミーゴ参事官(43)が対応。「千羽折れば願いがかなう」と、被爆して白血病になった佐々木禎子さんが回復を願って病床で鶴を折り続けた話を聞いたり、折り鶴再生紙を製造する工程を映像で見たりするうちに興味を持った。自ら「名刺を作りたい」との話になり、木野川紙業が100枚印刷してプレゼントすることになった。

 名刺は、折り鶴の再利用を示す広島市のロゴマーク入り。エレロアミーゴ参事官は「名刺を渡した人に、サダコの話をすると興味を持って聞き、好感を持ってくれる」と喜ぶ。木野川紙業の陣場健社長(61)は「世界中から届けられた折り鶴が、再生紙という形で再び世界を渡るというリレーにつながってほしい」と期待している。

(2015年11月23日朝刊掲載)

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