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原爆美術展を中止 東京・目黒区 財政難を理由に

 東日本大震災の影響で今春の開催を見送り、来年度の開催を目指していた東京・目黒区美術館の原爆美術展が、区の財政難を理由に中止となったことが9日分かった。田中晴久館長は「予算確保の見通しが立たない中、これ以上、関係者に期待を持たせられない」とし、作品提供を依頼していた個人や機関に近く事情を説明する文書を送る。

 同展は「原爆を視(み)る1945―1970」と題し、原爆に関する絵画や写真、漫画など約600点の出展を計画。開催前に東日本大震災があり、福島第1原発事故などと「イメージが重なり、冷静に見られない」との理由で今春の開催が見送られた。

 その後も開催を望む声が多数寄せられ、来年度開催に向けて準備していたが、区が来年度以降、美術館事業への補助金を大幅に削減する案を9月末に固めた。館を運営する財団は復活を求めていたが、2014年度まで予算確保が見込めないことから中止を決めた。

 田中館長は「協力していただいた方には大変申し訳ない。収集したデータは貴重なものなので、資料集として形に残すことを模索している」と話している。(守田靖)

(2011年12月10日朝刊掲載)

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