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被爆体験伝承 「語り部」養成 広島市 来年度から

 広島市は2012年度から、被爆者の体験証言を伝承する次世代の「語り部」の養成に着手する。平和記念公園(中区)を訪れる修学旅行生などに体験を語る被爆者がさらに高齢化する将来を見据え、被爆者の思いを深く理解し、証言活動を受け継ぐ人材を育てる。市は12年度当初予算案に関連事業費を計上する方針でいる。(金崎由美)

 市によると、養成研修では平和や核兵器をめぐる世界情勢などの知識を身に付けた上で、特定の被爆者に付いて証言活動そのものを学ぶ。体験を聞いて覚えるだけでなく、行動を共にしたりしながら本人の深い思いや話し方を含めて理解することを目指す。

 市は「近い将来は確実に体験の継承ができなくなる。やる気を持つ人が引き継いで担ってほしい。公募を想定しており、肉親に被爆者がいるかどうかなどは問わない」としている。

 松井市長は8月6日の平和記念式典で読み上げた平和宣言に、公募した被爆体験談を初めて盛り込むなど、被爆体験の継承に強い意欲を示している。

 松井市長は中国新聞の取材に「まずは被爆体験をしっかりと継承するため、思いをくみ取る人を養成する」と話し、次世代への伝承に向けた幅広い活動の必要性を強調していた。

 市によると、市内に住む被爆者の平均年齢は昨年より0.68歳高い76.96歳と高齢化が進んでいる。

(2011年12月23日朝刊掲載)

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