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愛宕山売却を最終決定 岩国市長・知事 国回答を見極め

 山口県の二井関成知事と岩国市の福田良彦市長は22日、県庁で協議し、国が米軍住宅用地として取得を目指す同市の愛宕山地域開発事業跡地を売却することを最終決定した。米軍再編に関する国への照会文書を同日、防衛省に送り、国側の文書回答を県、市が了承したうえで売却の意向を伝える考えだ。(金刺大五)

 二井知事と福田市長は週明けにも上京する予定で、愛宕山跡地問題の年内決着を図る。

 照会文書は(1)米軍普天間飛行場(沖縄県)移設の見通しが立たない間は米海兵隊岩国基地への艦載機の先行移駐を認めない県、市の基本方針を国は尊重する(2)移駐を実施する際は、国の責任においてあらかじめ地元の理解を得る(3)安心・安全や地域振興策など地元要望に最大限配慮し、海上自衛隊の残留を早期に決定する―ことについて、防衛省の見解を求めている。

 二井知事と福田市長は冒頭を除き非公開で約1時間、協議。県、市議会での議論を踏まえ、売却方針を最終合意した上で、照会文書の内容を詰めた。

 国は艦載機移転に伴い、同跡地のうち75ヘクタールを約169億円で取得し、米軍幹部向け住宅約270戸や運動施設を建設する計画。協議後、会見した二井知事は「当初の目的通りに住宅団地ができず、大変残念。土地を提供していただいた皆さまに申し訳なく、おわびしたい。赤字解消のためのやむを得ない措置で、現実的な対応と思う」、福田市長は「苦渋の選択だが、総合的に最善、最良の選択でもある」と述べた。

 県、市は照会文書への国の回答が基本方針を国に守らせる「担保」となるだけに慎重に見極める構え。二井知事は「先般、防衛大臣から県、市の基本方針を理解してもらっている。私どもからみれば、難しい回答ではない」と早期解決へ自信をみせた。

(2011年12月23日朝刊掲載)

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