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原爆慰霊碑 文字塗り直す 塗料事件

 平和記念公園にある原爆慰霊碑(広島市中区)の石版に金色の塗料が吹き付けられた事件で、広島市は12日、塗料を拭き取り、碑文の文字を塗り直して修復を終えた。

 市から委託された塗装業者がシンナーを含ませた布や筆を使い、碑文やその周りを拭った。その後、「安らかに眠って下さい 過ちは 繰返しませぬから」と彫られた碑文の文字部分に筆を入れ、慎重に白く塗った。

 碑文に塗料が吹き付けられているのを警備員が見つけたのは4日未明。慰霊碑を管理する広島平和文化センターの職員が拭き取ったが、塗料がこびりついたため、専門業者に除去を委託した。

 作業を見守った中区の無職吉田幣三さん(75)は「石棺の原爆死没者名簿に母と兄の名前があり、魂も汚された気持ちだ。ここが観光地である前に大切な慰霊の場であると多くの人に意識してほしい」と話していた。

 広島中央署は器物損壊の疑いで市の防犯カメラに写っていた男の行方を追っている。市によると、慰霊碑の損壊事件は今回を含め5件確認されている。(金崎由美)

(2012年1月13日朝刊掲載)

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