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淡水魚に蓄積のセシウム 濃度半減に10年超も 広島大グループ

 淡水魚の体内に蓄積した放射性セシウム137は、濃度が半減するまでに10年以上かかる例があるという調査結果を広島大(東広島市)の研究グループがまとめ、19日付の米科学誌プロスワン電子版に発表した。

 同大サステナブル・ディベロップメント実践研究センターの土居秀幸特任講師(34)=生態学=のグループ。チェルノブイリ原発事故で汚染されたロシアや北欧の湖沼や川にすむ魚について調べた34論文の記述から計260のサンプルを集め解析した。魚種は58だった。

 魚は放射性セシウムを餌から取り込むため、食物連鎖の上位にある魚種ほど体内で濃度がピークになる時期が遅れる。プランクトンを食べる小型魚よりも、魚を捕食する大型魚は濃度が最大になるのが平均約230日遅かった。

 解析の結果、代謝や排せつによって体内のセシウム濃度が半減する時期は、魚の体重と生息地の水温から予測でき、数百日から10年以上かかる例もあったという。

 異なる条件下に生息する海水魚には適用できない。土居特任講師は「福島第1原発事故による放射性物質の魚への影響も、長期的な調査が必要だ」と話している。(山田祐)

(2012年1月20日朝刊掲載)

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