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黒い雨 エリア確定困難 「データ不足」 厚労省WG、報告書

 広島原爆投下後に降った「黒い雨」被害の援護対象となる国の指定地域見直しで、厚生労働省の有識者検討会のワーキンググループ(WG)は19日、「データ上の限界で、科学的に降雨域の確定は困難」とする報告書をまとめた。雨が降った範囲を具体的に示さない。20日の検討会に提出する。

 広島市は2008年度に実施した「原爆体験者等健康意識調査」の報告で、10人以上が雨を浴びたと証言した地区を基に、現状の指定地域である「大雨地域」の約6倍を降雨域と推定し、拡大を求めている。市の調査データを別の方法で再解析したWGが降雨域を示さなかったことが、検討会の指定地域見直し議論にどう影響を与えるかは不透明だ。

 複数の関係者によると、WGは「大雨地域」と周辺の「小雨地域」のさらに外でも、黒い雨を浴びたという人の割合が高い地区を認めた。しかし、データ数が少なく、地区によって人数や割合にばらつきがあるため、降ったか降っていないかの境界について結論を出さなかったという。

 WGは市の調査に関わった統計学などの専門家3人を含む計8人で構成。昨年10月から12月まで4回会議を開き、黒い雨による精神的な影響や降雨域について再解析していた。(岡田浩平、金崎由美)

(2012年1月20日朝刊掲載)

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