×

ニュース

原爆症認定 科学の限界鑑み判断を 厚労省検討会

 厚生労働省の第8回「原爆症認定制度の在り方に関する検討会」が24日、省内であった。国が被爆者を原爆症に認定するかどうか、科学の限界を踏まえて判断する仕組みを求める意見が相次いだ。

 健康局総務課が前回までの議論を整理した「検討の視点」を提示。「厳密な科学的知見に基づく証明のみで放射線起因性を判断するのは十分とはいえないのでは」などと示した。

 これを受け、長崎国際大の潮谷義子学長は「科学的な証明だけを求めると外れる人がいる」。日本被団協の坪井直代表委員は「(原爆の影響は)科学的に分からない部分が多い」と被爆者救済の立場からの仕組みづくりを求めた。弁護士の荒井史男氏も「科学的知見を尊重するのと、認定要件として起因性を持ち込むかどうかは切り離して考える余地がある」と指摘した。

 今回、森亘氏は体調上の理由で座長を退き、神野直彦東大名誉教授(財政学)が座長に就いた。検討会は次回以後、制度づくりを視野にした議論に移り、同課が論点を提示する。被団協も、全被爆者が対象の「被爆者手当」を設けて病状や病気に応じて加算する新たな援護策を提案する。(岡田浩平)

(2012年1月25日朝刊掲載)

年別アーカイブ