×

ニュース

最後の体験記発刊 岡山県原爆被爆者会 2世を含む89人

 岡山県原爆被爆者会(土屋圭示会長)は、被爆2世を含む89人の手記を集めた「被爆七十年―次世代に語り継ぐ被爆体験記」を発刊した。同会が体験記をまとめるのは、原爆投下から半世紀の1995年以来。それぞれが、悲惨な体験を継承し「核なき世界」を実現する必要性を訴えている。

 手記は、黒こげの死体や水を求めるけが人であふれる被爆直後の市街地の状況や、傷一つなかった父親が1カ月後、皮膚に斑点ができ、鼻血が止まらず亡くなった様子などを記載。放射線の影響に不安を抱き続ける苦しみや、核兵器廃絶を願う思いもつづっている。

 巻頭には、岡山県内各地の被爆者の慰霊碑の写真や、広島、長崎の原爆被害のデータも掲載している。

 昨年6月から原稿を募り半年かけてまとめた。手記を書いた被爆者の中には、完成を待たずに亡くなった人もいるという。

 爆心地から約2キロの広島駅(広島市南区)で被爆した編集座長の平末豊さん(85)=岡山市南区=は「被爆者は、平均年齢が80歳を超えるなど高齢になっている。体験記編さんは最後だと思う。私たちが証言できなくなっても、これを読んで原爆の被害について知ってほしい」と力を込めた。

 A4判、145ページ。1400部を印刷。県内全ての中学校と公立図書館に配るほか、希望者には500円(送料別)で販売する。平末さんTel086(264)3227。(永山啓一)

(2016年1月25日朝刊掲載)

年別アーカイブ