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紙芝居で伝えるヒロシマ コープやまぐち イベントで3月披露

 コープやまぐち(山口市)が、紙芝居「8月5日で終わった日記」を作っている。広島で被爆し、55歳まで約19年間、山口市で暮らした中村雄子さん(83)=神奈川県平塚市=の被爆体験を伝える。3月26、27日に山口市の山口きらら博記念公園で開く「生協まつり」で披露する。

 紙芝居は約15枚。中村さんは神奈川県原爆被災者の会会長を務め、国内外で核兵器廃絶と不戦を訴える。広島県立広島第一高等女学校(現皆実高)2年だった13歳の時、学徒動員先の広島市西区の兵器工場で被爆。その情景から物語は始まる。体に爆風でガラスの破片が突き刺さり、黒い雨に打たれた。

 爆心地に近い別の動員先にいた近所の下級生は大やけどを負い、親にみとられることなく救護所で息を引き取った。彼女は戦争中に必死で生きた証しを日記に残していた。

 原爆投下前日の8月5日で途切れた日記。その存在を知った中村さんは「二度と悲劇を繰り返さない責任が大人にはある」との思いに駆られ、語り部活動に打ち込むようになった、と紹介する。

 昨年8月に宇部市であった中村さんの講演を聞いた組合員が、紙芝居にすることを中村さんに提案。同9月から、40~50代の7人が絵や文章の構成を考えた。下絵は、油絵が趣味の石川富美子さん(78)=山口市朝田=に依頼した。

 岩国市周東町の主婦松崎桂子さん(59)は「被爆者や戦争体験者の高齢化が進む中、体験を子どもたちに伝える役割を自分も果たしたいと思った。紙芝居を通じて、一人一人が平和のためにできることを考えてほしい、と呼び掛けたい」と絵筆を動かしている。(柳岡美緒)

(2016年1月26日朝刊掲載)

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