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「時間の限り国と協議」 艦載機移転 3選の岩国市長 意向

 24日に投開票された岩国市長選で3選を果たした福田良彦市長は25日、中国新聞のインタビューに応じた。在日米軍再編に伴い2017年ごろまでに予定される米海軍厚木基地(神奈川県)から米海兵隊岩国基地への空母艦載機移転の受け入れについて、「時間の許す限り国と安心安全対策を協議し、多くの市民が納得できるかどうかを踏まえて判断したい」との考えを示した。

 福田市長は、国との協議で重視するのは騒音対策とし、判断の前には市議会や市民に協議状況を説明する機会を設ける意向を示した。

 米軍普天間飛行場を抱える沖縄県宜野湾市長選で、飛行場の名護市辺野古移設を推進する安倍政権から支援を受けた現職佐喜真淳氏が再選したことには、「普天間飛行場の危険性除去が大きく進むだろう。懸念された固定化は回避されるのではないか」と述べた。

 普天間移設を含む沖縄の基地負担軽減は、在日米軍再編の前提。岩国市と山口県は「普天間移設の見通しが立たないうちに、艦載機移転を切り離して進めることは認められない」とのスタンスを示している。福田氏はこの姿勢について、「変わらない」と述べた。(野田華奈子)

福田市長インタビュー(詳報) 騒音対策を拡充/空港活用 定住促す 岩国

 岩国市長選で3選を果たした福田良彦市長は25日の中国新聞のインタビューで、2017年ごろまでに予定される米海軍厚木基地(神奈川県)から米海兵隊岩国基地への空母艦載機移転への対応や人口減少対策の取り組みを語った。(野田華奈子)

 ―艦載機移転の最終判断は「国との協議の先」という姿勢ですが、協議で重視する点は何ですか。
 国に要望している安心安全対策43項目のうち、8割が実施または実施の方向で検討中だ。市民からは騒音の不安や改善策を求める声が大きい。防音工事の指定区域や補助対象施設の拡大をぜひ実現させたい。

 ―判断の基準はあるのですか。
 明確な基準はない。時間の許す限り国と協議し、多くの市民が納得できるかどうかを踏まえて総合的に判断する。判断の前には、市議会や市民に協議の進捗(しんちょく)状況を説明したい。

 ―山口県は「地元が(移転を)容認すれば容認する」とのスタンスです。
 県が地元の意向を尊重するというのは、安心安全対策や地域振興策の評価を市に任せる、という意味合いだと思う。県の従来からの姿勢だ。

 ―市総合計画に掲げた「基地との共存」を踏まえた具体的施策は。
 例えば、グローバル教育の充実や国際交流などが考えられる。14年8月の豪雨災害では、基地からボランティアで復旧作業に来てもらった。防災面でも協定を設けたい。

 ―3月20日で合併から10年。人口減少が進む市にどう活力を生み出しますか。
 中山間地域では、地域医療や生活交通の確保などに対応していく。岩国錦帯橋空港を活用して交流人口を増やし、将来的な定住につなげたい。全市的な観光振興や企業誘致を目指し、これまで以上にトップセールスに力を入れる。

(2016年1月26日朝刊掲載)

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