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宍道断層 25キロに見直し 中電が検討 追加耐震工事 必要か

 中国電力が島根原発(松江市)の近くにある宍道断層の長さの評価を22キロから25キロに延長する方向で検討していることが26日、分かった。2号機の再稼働を審査する原子力規制委員会の指摘を受け入れざるを得ないと判断した。25キロに見直せば、追加の耐震工事が必要になる可能性がある。

 中電は近く規制委の審査会合で、新たな見解を示す方向で調整している。これまで宍道断層は22キロより延びないと主張してきた経緯があり、地元自治体にも丁寧に説明する方針だ。

 現在は、原発設備の耐震設計の目安となる「基準地震動」を600ガル(ガルは加速度の単位)と想定する。25キロへの延長により、基準地震動の引き上げも検討する。その結果、追加工事が必要になれば、現在の安全対策費約4千億円がさらに膨らむ。

 焦点となっているのが、宍道断層の西端付近だ。中電は2度の調査を経て、22キロで変わりないと主張してきた。だが規制委は昨年12月の審査会合で、西端付近は十分に調査するのが難しい地形のため、断層が延びていないとはいえないと指摘。見解が分かれていた。

 中電は、断層が延びる根拠は見つかっていないが、不確かさを考慮し、より慎重に評価する必要があるとみている。25キロを想定しても地震の揺れに耐えられる原発設備にする考えだ。

 宍道断層をめぐっては、中電は過去に存在や長さを3度見直してきた。島根原発の建設当時は活断層はないとしていたが、1998年に8キロ、2004年に10キロに変更。08年には22キロに延ばし、今後延ばすことはないとしてきた。長さの見直しは8年ぶりになる。(河野揚)

(2016年1月27日朝刊掲載)

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