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海外から学ぶ紛争の解決法 原爆以外もテーマ「HIROSHIMAワールドトーク」 外国人講師と率直議論

 平和活動に取り組む外国人を講師に迎え、参加者同士で戦争のない世界を目指して話し合う「HIROSHIMAワールドトーク」が昨年春から、広島市内で開かれている。原爆投下の歴史だけではなく、海外の問題にも目を向けるのが特色。参加しやすい雰囲気も受けている。(山本祐司)

 県民文化センター(中区)で昨年12月にあった3回目の講座。学校帰りの高校生や大学生、会社員ら約30人が口コミや会員制交流サイト(SNS)を通じて集まった。講師は、パレスチナ・ガザ地区でNGO活動をした米国人英語教師アシュリ・サウザーさん(40)=東広島市=と、国連訓練調査研究所(ユニタール)広島事務所職員でアフガニスタン人のシャムスル・ハディ・シャムスさん(31)。

 日本人が身近に感じにくいイスラムや、混乱続きで憎しみや恐怖に襲われがちな中東周辺での実体験―。サウザーさんは時折笑いも交え、「他者の悪い点だけ見ると全部悪く思える。良いところも見ることが平和への一歩だ」と指摘。シャムスさんは「コミュニケーションして本当の情報を得てほしい。ステレオタイプに考えないで」と訴えた。

 話を聞いた後、参加者は6、7人ずつ車座になり、未来に向け何をすべきか話し合って発表。「あいさつをする」など簡単にできる行動が提案された。一方、「相手と価値観が違う時、受け入れるか自分の考えを貫くか難しい」と率直な悩みも浮かんだ。

 講座は、団体職員の浜長真紀さん(30)=中区=が企画。青年海外協力隊として赴いた中米ベリーズで原爆展を開いた時、日本の加害を問う現地の人の言葉が胸を突いた。「自分はヒロシマ中心の平和観だった」。押し付けになってもいけないと思い、海外の戦争や紛争を知ろうと決めた。

 日頃は「平和」を意識していない。具体的に何かもつかめていない。しかし、人と肩肘張らずに話せば、個人の役割や目標が見つかるのでは―。そんな場をつくりたいと思っている。

 これまでのテーマは、ヒロシマの持つ発信力やルワンダ内戦など幅広い。「知識がなくても参加できる」「幅広い年代の意見が聴けて新鮮」「あらためてヒロシマを考えた」などと反応も上々だ。浜長さんは「今後も、平和について気軽に考える機会を提供していきたい」と話している。

(2016年2月1日朝刊掲載)

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