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折り鶴 幅広い再利用促す 市有識者委最終報告 長期保存は否定

 原爆の子の像(広島市中区)に届く大量の折り鶴の活用策を検討する広島市の有識者委員会は31日、市役所で会合を開いて最終の報告書案をまとめた。平和の思いを持つ人に幅広く提供して再利用を促す一方、市による長期保存を否定した。近く松井一実市長に提出する。(金崎由美)

 報告書案は、活用策を公募する際の指針づくりを要請。特定のアイデアに限定せず、折った人や被爆者の心情を尊重しつつ平和の継承・発信、観光資源の創出につながる提案には提供するべきだとした。

 「思いを昇華させる方策」として市民意見などを基に、再生紙▽たきあげ▽展示▽記念品・贈答▽加工や焼却灰の利用▽焼却処分▽イベント▽データベース―を提示している。

 方策ごとの利点と問題点も指摘。再生紙は平和学習に使えるがコストがかかるとした。たきあげはイベントとして定着すれば平和の思いの発信や観光客誘致につながる一方、火災予防の観点などから課題が多いとした。

 また、折り鶴の活用をPRするため再生紙などに共通のロゴマークを付けることや、市の業務で再生紙を使うことなども提言した。

 旧日本銀行広島支店(中区)での展示は中止するとした。市は秋葉忠利前市長の方針で折り鶴を2002年度から保管。1月末現在で98.8トンに上る。そのうち約10トンを旧日銀で展示している。

 11年4月に就任した松井市長は保存方針を転換。11年9月に有識者委員会を設けた。

(2012年2月1日朝刊掲載)

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