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日本とベトナム懸け橋の保育園 中部の都市クアンガイに寄付集め建設 岡山の中元さん

 岡山市南区福富中の中元輝夫さん(78)がベトナムに保育園を寄贈した。太平洋戦争で戦死した父親の慰霊に現地を訪れた際、手厚く協力してくれた住民に恩返ししようと、知人たちに呼び掛け、2年間で350万円の寄付を集めて建設した。(永山啓一)

 保育園は昨年12月、ベトナム中部の都市クアンガイの町ティン・アン・ドンに開園した。れんが造りの平屋約120平方メートルで職員室やトイレも備える。地元住民がボランティアで作業して約3カ月かけて完成した。

 中元さんの父、猛さんは陸軍船舶砲兵としてタンカー「音羽山丸」に乗船。1944年12月22日、本土に石油を運ぶ途中、ベトナム沖で米軍の攻撃を受けて海中に沈んだ。

 中元さんは退職後の2010年、念願だった洋上慰霊祭を実現した。その際、地元政府が慰霊の花輪を用意し、海底探査で沈没地点を特定してくれていたことに感激。感謝の気持ちを示すため、要望の多い保育園建設を目指した。

 現地であった完成式典で中元さんは、園名を「かけはし保育園」と名付けた。帰国後、県庁で会見し「多くの協力で立派な保育園ができた。ここで育った子どもたちが日本とベトナムの懸け橋になってほしい」と願った。

(2016年1月31日朝刊掲載)

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