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旧満州の悲劇 風化させぬ 広島県世羅の福場さん 入植体験 10日初証言

 広島県世羅郡出身者が中心となって入植した、旧満州(中国東北部)の村の一つ「第二世羅村」に、先遣隊員として入った福場忠行さん(96)=世羅町小国=が、帰国から約70年を経て初めて当時の体験を語る。「戦争を風化させない」。10日に町内で証言会がある。

 福場さんは1944年1月、当時24歳で入植を指導する先遣隊26人の一人として出発。経理を担当した。村には約160人が入植。45年8月に終戦を迎えると、現地住民の襲撃を受けたという。自決者も出る中、隣村へ合流。「死体が野積みになった光景は忘れられない」

 その後、旧ソ連兵の下で他の開拓者たちとともに、畑を耕すなどの労働に就き、生き延びた。帰国は46年5月だった。

 町内で戦争体験の聞き取りを続ける世羅郡文化財協会の山下義心副会長(79)=小国=から依頼され、話す決心をした。福場さんは「思い出すのもつらく家族以外に話したことはない。平和について考えるきっかけになれば」と力を込める。

 証言会は10日午後1時半から、せらにしタウンセンター(小国)である。無料。センターTel0847(37)2115。(与倉康広)

(2016年2月3日朝刊掲載)

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