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被爆体験の伝承者養成 広島市、新年度から講座

 広島市は2012年度、被爆者の体験を語り継ぐ「伝承者」を養成する講座を開講する。被爆者と研修生が「師弟関係」を結び、証言活動を伝承する。3年後をめどに独り立ちし、修学旅行生などに被爆体験を語る。

 被爆者の高齢化が進む中、被爆者に代わり体験証言ができる人材を育てる狙い。市は12年度当初予算案に被爆者への講師料など177万円を計上した。

 被爆体験継承に力を入れる松井一実市長は7日の記者会見で「核兵器廃絶を訴えていくには被爆者の思いを発信し続けることが重要。自分のことのように語れる人を養成したい」と話した。

 講座は1年目に被爆の実態や世界情勢、思いが伝わりやすい話し方などを学ぶ。2、3年目は被爆者に付いて証言の手法を自分のものとし、内面の思いを深く理解する。「師匠」は広島平和文化センターに登録する35人の被爆体験証言者から募る。市は研修生を15年春、伝承者としてデビューさせる方針だ。

 研修生は4月以降に公募する。親族に被爆者がいるかや年齢、性別、国籍などは問わない。滝川卓男・平和施策総合推進担当課長は「被爆体験の伝承は決して簡単ではないが、意欲ある人にぜひ担ってほしい」と話している。(金崎由美)

(2012年2月8日朝刊掲載)

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