×

ニュース

絵本「ひかりの海」役立てて 回天搭乗員とその妻の戦後描く 光の小学校などに贈る

 旧日本軍の人間魚雷「回天」に乗り込み、光市光井の基地から出撃して死んでいった青年とその妻の戦後を描いた絵本「ひかりの海」の出版に合わせ、著者で和歌山大観光学部の特別フェロー佐藤溯芳(さっぽう)さん(63)=茨城県取手市=が12日、光市を訪れ、小学校や市教委に絵本計15冊を贈った。

 主人公は兵庫県で育った幼なじみのノブオとユキコ。同県高砂市の池淵ユキ子さん(94)と、24歳で戦死した夫信夫さんをモデルにした物語だ。結婚して間もなく、海軍の兵隊だったノブオは回天の搭乗員に。ユキコに見送られて光市から出撃。終戦後に戦死の知らせがユキコの元に届いた。ユキコはノブオを思い、平和を願ってその後の人生を送る。

 作品で構成と文章を担った佐藤さんは1983~96年、光市の日刊紙で記者をしていた。そのときに池淵さんを取材し、絵本にする構想を温めていた。「子どもが悲しい歴史を学ぶための材料になれば」と話していた。

 「ひかりの海」は1100円。同市の書店などで販売されている。(高田果歩)

(2016年2月13日朝刊掲載)

年別アーカイブ