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米打診の海兵隊移転先 政府 岩国案を拒否 外相・防衛相が明言 

山口知事・市長と会談

 米国が在沖縄海兵隊の一部を海兵隊岩国基地(岩国市)に移転させる案を打診した問題で、玄葉光一郎外相と田中直紀防衛相は13日、日本政府として移転案を拒否する考えを表明した。二井関成山口県知事、福田良彦岩国市長との会談で「岩国への追加的な移転をお願いするつもりはない」と述べた。(岡田浩平、荒木紀貴)

 知事、市長は外務省で玄葉氏と面会。2006年に日米で合意している米海軍厚木基地(神奈川県)からの空母艦載機59機の岩国移転などに協力姿勢で臨んできた経緯を踏まえ、今回の沖縄海兵隊の移転案を「打診が事実なら背信行為。断固反対だ」と強調した。艦載機部隊の住宅用地として、国に売る方針を決めている愛宕山地域開発事業跡地(同市)の売却を留保する考えも伝えた。

 これに対して、玄葉氏は「追加的な負担」を否定し「ご安心いただければ」と明言。艦載機移転については「米軍再編の重要な一部であり、着実に進めたい」と協力を求めた。

 防衛省で会談した田中氏も「(岩国移転案は)一切、防衛省として考えていない。結論として申しあげたい」と返答。愛宕山跡地の本年度内の売却を重ねて要請した。

 外相、防衛相との会談後、二井知事は記者団に「(両大臣の)決意としては理解したが、実際にその方向になるかはしっかりみないといけない」と指摘。愛宕山跡地の売却に関しても「岩国基地が明確に外れると明らかになるまで留保を続ける」とした。

 米軍再編をめぐって米側は、約8千人としていた沖縄からグアムへの移転規模を4700人に縮小し、残りの一部である約1500人の岩国移転と費用負担を日本側に打診。政府は「協議はしていない」と説明していた。

(2012年2月14日朝刊掲載)

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