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被爆者医療さらに 広島で原医研シンポ 福島支援の課題検証

 広島大原爆放射線医科学研究所(原医研、広島市南区)は20日、設立50年を記念し、福島第1原発事故からの復興支援をテーマにした国際シンポジウムと式典を広島市中区の広島国際会議場で開いた。神谷研二所長は式典で「被爆者医療の向上とともに福島県民の安心や世界の被曝(ひばく)者医療に取り組む」と決意を述べた。

 シンポは原医研の研究者や国際原子力機関(IAEA)の担当者たち8人が発表した。

 神谷所長は事故翌日に広島大の緊急被曝医療チームを派遣した経緯を説明。被災直後の混乱で現地の医療機関や自治体と連絡がスムーズに取れなかった経験も踏まえ、住民に放射線被害の正しい情報を伝える難しさを指摘した。

 福島県立医大の安村誠司教授は同県飯舘村など原発周辺住民の被曝量調査を報告。原医研など研究機関との連携の重要性を話した。

 記念式典には170人が出席。被爆者治療、研究の拠点に加え、原発事故の被災地支援という新たな役割を再確認した。

 原医研は1961年、原爆放射能医学研究所として発足。2002年に改称した。放射線とがん発症のメカニズムの研究や原発事故の汚染地調査、広島原爆の「黒い雨」解明などに研究者54人が携わる。広島大は福島県立医大と連携協定を締結。神谷所長が同医大の副学長に就任し、健康管理調査に協力している。(金崎由美)

(2012年2月21日朝刊掲載)

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