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平和市長会議の国内自治体 核廃絶活動に温度差 修道大生がアンケート

 平和市長会議(会長・松井一実広島市長)に加盟する国内自治体の活動について、広島修道大(安佐南区)の学生がアンケートをして報告書にまとめた。核兵器廃絶への取り組みが広がる一方、半数以上は加盟後も平和活動にあまり変化がないと捉えていることが分かった。形骸化に警鐘を鳴らし、連携の促進を提言している。(野田華奈子)

 アンケートは法学部の3年生5人が昨年10月、国内加盟都市の約2割に当たる250市区町村に郵送。42都道府県の180市区町村から回答を得た。

 活動内容を選択式(複数回答)で尋ねたところ、最多は「平和に関する署名活動の実践・支援」が59自治体で32.8%。「小中高の平和学習への支援・協力」(32.2%)などと続いた。

 約3割の58自治体が「その他」を選び、自由記述欄には、原爆展開催▽被爆アオギリの植樹▽「平和祈念式典」開催―などと記す。一方、「特に活動していない」は11自治体。無回答の9自治体と合わせると、約1割は活動停滞がうかがえる。

 加盟前後の平和活動の比較では、53.3%の96自治体が「あまり変化がない」と回答。50自治体(27.8%)は「増えた」とした。市長会議に関する市民への広報は、約3割の50自治体がしていないことも分かった。

 結果を受け「活動に熱心な自治体と、そうでない自治体の差が顕著」と分析。代表の佐々木健児さん(22)=西区=は「活動情報を共有すれば活性化できる」とみる。指導した城忠彰教授(軍縮国際法)は「平和をつくる意識を市民に浸透させ、うねりをつくることが大切だ」と指摘する。

 平和市長会議は1月、国内の加盟自治体による初会合を広島市内で開いた。事務局のある広島平和文化センターの荒瀬尚美・2020ビジョン推進担当課長は「報告書の内容を今後の取り組みに生かしたい」としている。

平和市長会議
 1982年に荒木武市長(当時)の提唱で発足した「世界平和連帯都市市長会議」が前身。広島市長が会長、長崎市長が副会長を務める。2012年2月1日現在、153カ国・地域の5126都市が加盟。うち、国内は47都道府県の1101市区町村。20年までの核兵器廃絶を目指す「2020ビジョン」を掲げる。

(2012年2月22日朝刊掲載)

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