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被爆者ら実現に期待 「核廃絶へ大きな弾み」 オバマ氏 広島への訪問「検討」

 5月の伊勢志摩サミットに合わせたオバマ米大統領の広島訪問が検討されていると伝えられた23日、地元の被爆者たちから期待の声が相次いだ。

 「核兵器廃絶へ大きな弾みになる。ぜひ実現を」。国内外で証言活動をしてきた被爆者の岡田恵美子さん(78)=広島市東区=は力を込める。2009年4月のプラハ演説で「核兵器なき世界」を掲げたオバマ氏の任期も残り10カ月。「あの演説に抱いた希望を忘れられない。任期中の訪問を信じている」

 検討を明かしたガテマラー国務次官は14年4月、核兵器を持たない12カ国でつくる軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)外相会合にゲスト参加するため広島を訪れた。その際、英語で被爆体験を伝えた小倉桂子さん(78)=中区=は「国務次官は『廃絶へともに頑張りましょう』と言われた。今、大統領の広島訪問に向け努力しているのだと思う」と語った。

 広島市も、松井一実市長が15年12月、キャロライン・ケネディ駐日大使に要請文書を手渡すなど、強く働き掛けてきた。平和推進課の横山元信課長は「真剣に検討してもらっているようだ。期待して状況を見守りたい」。

 ただ、米国内には原爆投下を正当化する考えが根強い。オバマ氏の広島訪問の大きなハードルになるとみられるが、市立大広島平和研究所(安佐南区)の水本和実副所長は「大統領選で民主党候補にどう影響するかなど、米の国内世論も判断材料になる」と指摘する。(水川恭輔)

(2016年3月24日朝刊掲載)

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