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被爆体験伝承 19人修了 東京・国立市 5月から定期講話

 東京都国立市は26日、被爆の記憶を次代に語り継ぐ人材として育成した「原爆体験伝承者」の修了式を開き、第1期生19人に委嘱状を交付した。5月から定期的に講話会を開き、被爆者の体験と平和への思いを広めてもらう。同様の事業を展開する広島市によると、被爆地以外では聞いたことのない試みだという。

 国立市や近郊、千葉県などの20~70歳代の男女19人。同市の被爆者団体「くにたち桜会」の協力で昨年1月から15カ月間、会員の半生をじかに聞き取るなどし、原爆被害の実態を学んできた。この日は18人が出席し、佐藤一夫市長から委嘱状を受け取った。

 代表者による講話の披露もあった。くにたち桜会副会長で、広島市で被爆した平田忠道さん(85)の話を聴いた班からは、国立市の小学校教諭有馬佑介さん(35)が登壇。被爆死した母と4歳の弟を捜し歩いた平田さんの体験を切々と語り「過ちを二度と犯さないため、僕たちに何ができるか考えよう」と訴えた。同席した平田さんも拍手を送り「熱意に感謝する。人生の尊さを伝え、平和な社会をつくってほしい」と激励した。

 国立市は図書館などの公共施設で月数回の定期講話を始めるほか、希望する学校などへ伝承者を派遣。今秋から第2期生の養成も始める方針だ。(田中美千子)

(2016年3月27日朝刊掲載)

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