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旧理学部「保存を」74% 広島大被爆建物への市民アイデア 活用策 「博物館」目立つ

 広島大本部跡地(広島市中区)に立つ被爆建物、旧理学部1号館の保存・活用で、所有する市が昨年度に募った市民アイデアの結果が18日、分かった。何らかの形で保存を求める意見が74%を占め、活用策では「博物館」が目立った。市は本年度、これらや有識者の意見を踏まえて方針を決める予定でいる。(和多正憲)

 昨年12月15日から1カ月間、市と広島大が跡地で掲げる「知の拠点」構想に沿う提案を募集。自由記述形式で、市内外の69人と2団体から寄せられた。

 市の仕分けで、保存に関する記述は54件。うち40件が「保存」を支持し、「全部解体」の14件を上回った。

 保存方法の内訳は、E字形の建物のうち、外壁や前面を残したり、I字形などに減築したりする「一部保存」が15件と最多。「全部保存」は13件、一部をモニュメントにする「象徴保存」は6件。残り6件は具体的な方法を明記していなかった。

 一方、活用策は77件。うち、市の自然や文化を伝える「博物館」が24件。「交流・にぎわい施設」8件▽「大学施設」7件▽「平和・原爆体験の施設」6件―と続いた。

 市は近く、大学関係者や地元住民でつくる懇談会を設け、保存・活用の議論を始める。

 1号館は1931年、広島大の前身の一つ広島文理科大本館として建築。戦後、理学部1号館となり、91年に閉鎖された。市が2013年、国側から無償譲渡を受け、14年には震度6強の地震で倒壊する危険性が高いとの調査結果を公表している。

(2016年4月19日朝刊掲載)

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