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「核なき世界へ行動を」 オバマ大統領広島へ 被爆者ら歓迎と注文

 オバマ米大統領が5月26、27両日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に合わせて広島市を訪れる見通しとなった22日、被爆者たちから歓迎の声が上がった。一日も早い「核兵器なき世界」の実現へ、被爆地から具体的な行動を呼び掛けるよう注文した。(和多正憲、水川恭輔、長久豪佑)

 「人類の平和のための決断として感謝したい。原爆慰霊碑にぬかずき、被爆者の核兵器廃絶の願いを受け止めてほしい」。広島県被団協の坪井直理事長(90)は力を込めた。オバマ氏が大統領に就任した2009年1月、被爆者団体の共同書簡で広島訪問を要請した。「原爆を落とした米国への悔しさ、憎しみは今も腹の底でうごめいている。しかし、戦争、核兵器をなくすために理性で乗り越え、諦めず一緒に頑張りたい」

 やはり訪問を呼び掛ける手紙を送った東区の被爆者、岡田恵美子さん(79)。「プラハ演説を聞いて本当に感動した。原爆ドームそばで演説してもらえたら。被爆地から核兵器廃絶の決意と行動を示してほしい」と期待する。

 オバマ政権下、駐日大使が広島市の平和記念式典に参列するようになった。今月11日にはケリー米国務長官が外相会合の際に平和記念公園(中区)を訪れた。ただ、被爆者の証言を聞く機会はなかった。

 もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(71)はオバマ氏の訪問意義を認め、「被爆者の生の声を聞き、どう感じたかを率直に教えてほしい。その上で広島の地から、具体的な方法も含め核兵器廃絶を目指すと明言してほしい」。

 広島市立大広島平和研究所(安佐南区)の水本和実副所長は「原爆投下を正当化する米国の国内世論が根強い中で勇気ある決断だ」と評価。「被爆地で核兵器の危険性への認識を高め、ロシアをはじめ、ほかの核保有国も巻き込んだ核軍縮を進める力強いメッセージを出してこそ意味がある」と指摘した。

(2016年4月23日朝刊掲載)

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