×

ニュース

呉の「鎮守府」 日本遺産認定 文化庁 19件 尾道も

 文化庁は25日、有形、無形の文化財を地域やテーマごとにまとめて認定する「日本遺産」に、19府県の19件を選んだ。中国地方からは、明治時代に海軍鎮守府が置かれた4市で共同申請した呉市や、「村上海賊」を題材に愛媛県今治市と申請した尾道市など計4件が入った。

 地域の魅力を国内外に発信し、観光客を増やして地域活性化を図るのが狙い。歴史や伝承を踏まえ、魅力を分かりやすく説明したストーリー性を基に選定する制度で、認定は2015年度に続き2回目となる。

 呉市は、神奈川県横須賀、長崎県佐世保、京都府舞鶴の各市と申請した「鎮守府 横須賀・呉・佐世保・舞鶴~日本近代化の躍動を体感できるまち~」が認定を受けた。旧呉鎮守府司令長官官舎や大和ミュージアムの所蔵資料などで構成し、往時の姿を残す都市の魅力を訴えている。

 尾道市と今治市のテーマは「“日本最大の海賊”の本拠地:芸予諸島―よみがえる村上海賊“Murakami KAIZOKU”の記憶―」。海城の跡などが残り、「村上海賊の生きた姿を体感できる」とした内容が評価された。

 「出雲国たたら風土記~鉄づくり千年が生んだ物語~」(雲南市、安来市、島根県奥出雲町)と、「地蔵信仰が育んだ日本最大の大山牛馬市」(鳥取県大山町、伯耆町、江府町、米子市)も選ばれた。

 中国地方以外では「政宗が育んだ“伊達”な文化」(仙台市など)や「『古事記』の冒頭を飾る『国生みの島・淡路』~古代国家を支えた海人の営み~」(兵庫県淡路市など)が入った。

 今回は67件の申請があり有識者委員会が審査した。認定件数は累計で37件となり、中国地方関連は8件。尾道市は15年度に「尾道水道が紡いだ中世からの箱庭的都市」が選ばれており、2年連続の認定となった。

 認定された自治体は、多言語のパンフレット作成やイベント開催などに使える国の補助金を受け取れる。文化庁は東京五輪・パラリンピックがある20年までに100件の認定を目指す。(山本和明、清水大慈)

日本遺産
 点在する文化財を、歴史的な経緯や伝承、風土を踏まえた一つのストーリーとして文化庁が認定する制度。一つの市町村内で完結する「地域型」と複数にまたがる「シリアル型」がある。中国地方からは初年度の2015年度、尾道市、備前市、島根県津和野町、鳥取県三朝町の申請が認定を受けた。

(2016年4月26日朝刊掲載)

年別アーカイブ