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原爆資料館改修 有識者会議が基本設計 都市壊滅の惨状 克明に

 広島市が大幅改修を予定する原爆資料館(中区)の展示見直しを助言する有識者検討会議(今中亘委員長、11人)は22日、展示の基本設計をまとめた。一瞬で都市が壊滅した被爆の惨状をより深く伝えるため被爆資料の配置を工夫し、映像を効果的に使う。福島第1原発事故を受け幅広い放射線被害を伝える展示も新設。市は2018年度の全面再オープンを目指す。

 基本設計では、本館が「被爆の実相」、東館は世界の核情勢や広島の復興の歩みなどを「自ら学ぶ」ことをテーマとする。

 本館は熱線を浴びた石段や焼け焦げた衣服などを集合展示する。現在は別々に展示している資料を同じケース内に並べ、都市と市民の暮らしを破壊した原爆被害の惨状を訴える。東館3階では被爆前の街や被爆後の様子の映像を天井からパノラマ模型に映しだす。

 このほか解説の多言語化や照明の配置、被爆資料を来館者が見やすい位置に置く工夫など被害の実態を効果的に学べるよう求めた。

 検討会議は22日に東館で会合を開き、10年8月から計10回の議論を集約した。12年度は具体的な展示内容を議論する。

 今回の改修は1955年完成の本館の耐震補強を含み、開館後最大規模。14~15年度に東館、16~17年度に本館をそれぞれ閉館し本格工事する。東館1階から3階への直通エスカレーターを新設し、見学順序が変わる。総事業費は46億7千万円。(藤村潤平)

(2012年3月23日朝刊掲載)

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