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原爆症の新手当議論 厚労省検討会

 厚生労働省の「原爆症認定制度の在り方に関する検討会」の第10回会議が28日、省内であった。現行制度の代わりに日本被団協が提案する、病気に応じて金額を加算する「被爆者手当」を本格議論した。手当の段階支給には賛成としつつ、全被爆者に支給することには反対する委員が多かった。

 12人が出席。日本被団協の田中熙巳(てるみ)事務局長が「被爆の実態に沿った新しい援護制度の設計が必要」などとし、全被爆者を対象に病気によって3段階で加算▽1人当たり月額約3万4千~13万7千円―などの被爆者手当の骨格を説明した。

 これに対し、長崎国際大の潮谷義子学長は「段階的な手当は理解できる」と評価し、医療の必要性などで区分する考えに賛意を示した。

一方で、病気でない被爆者も支給対象とする内容に「何らかの根拠がないと国民の理解を得がたい」と指摘。同調する意見が相次いだ。

 また、大分県立看護科学大の草間朋子学長は、認定要件として科学的知見による現行の「放射線起因性」より広くとらえる「原爆起因性」という考え方を検討すべきではと主張した。今回の議論を踏まえ、次回以降、論点を詰める。(岡田浩平)

(2012年3月29日朝刊掲載)

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