×

ニュース

5・27ドキュメント オバマ氏広島訪問

 0・40 広島市中区の平和大通りに日米両国の国旗が掲げられる。

 5・00 日の出とともに平和記念公園(中区)の原爆慰霊碑を訪れる市民が目立ち始める。毎朝散歩で立ち寄る中区の石井順子さん(75)は両親と姉を原爆で亡くし、自らも被爆した。「ここに来ると精神的に落ち着く」。静かに手を合わせた。

 6・00 原爆慰霊碑前の献花台を、市シルバー人材センターの清掃員として掃除している被爆者の米田吉子さん(80)=中区。「今日はいつもと違って緊張する」=写真

 7・30 「オバマ大統領は1回だけでなく、繰り返し来て」。通学途中の広島大付属高3年仲渡千宙さん(17)=東区=は相生橋から原爆ドームを写真に収めた。

 8・15 昨年12月に被爆者の母を亡くした廿日市市の主婦高浜秋江さん(65)は原爆慰霊碑に手を合わせた。「米国が率先して核廃絶に取り組めば、必ずいい方向に進むと信じている」と、大統領の発言に期待を込めた。

 8・40 大統領が高校を卒業したハワイのプナホウ学園の元日本語教員ピーターソンひろみさん(67)=南区出身=が平和記念公園に駆け付けた。「若い世代に希望を与えるメッセージを聞きたい」

10・05 米サンフランシスコから訪れた無職リー・ネジップさん(61)は原爆資料館を見学。「広島の悲劇を深く知ることができた。ただ、原爆投下が終戦を早めた事実にも目を向けてほしい」

10・35 原爆の子の像の前で峠三吉の「にんげんをかえせ」を朗読したのは修学旅行で訪れた愛媛県新居浜市、中萩小の6年生たち。内田陽向君(12)は「大統領に届くよう、大きな声で朗読しました」。

12・00 金座街商店街(中区)で県原水協が核兵器廃絶を求める署名を開始。高橋信雄代表理事(77)=東区=は「核の抑止論を掲げるのではなく、廃絶に向けた道筋を示して」。

12・05 平和記念公園内への入場規制が始まる。元安橋前を自転車で帰宅中の安田女子高1年、内田結花さん(15)=中区=は「いつもの通学路が物々しい」と驚いた様子だった。

15・00 原爆ドーム周辺も立ち入り規制開始。平和記念公園を取り囲むように人垣ができる。ドーム近くの石垣に腰掛けていた広島県安芸太田町の藤渡一男さん(70)は「近くで雰囲気だけでも味わいたい」。

15・20 大統領が到着予定の広島ヘリポート(西区)周辺に市民が集まる。府中町の会社員矢冨将也さん(49)は「現職の米大統領が初めて広島に降り立つ。目に焼き付ける」。

15・30 米海兵隊岩国基地(岩国市)に大統領が専用機で到着。その後、基地内の格納庫で海兵隊員たちを激励した。

15・45 元安橋近くのラーメン店が交通規制のため急きょ閉店した。「昼の来客はすごく多かった。しょうがない」と店員の藤原健吾さん(22)=西区。 17・04 大統領が広島ヘリポートに降り立つ。

17・24 大統領の車列が平和記念公園に入る。沿道に詰めかけた市民は一斉にカメラを向けた。南区の医師平田研さん(67)は「市民の歓迎ムードを肌で感じた」と笑顔。

17・41 オバマ大統領が演説を述べ始める。

18・00 広島グリーンアリーナ(中区)で「オバマ大統領の来広の意味を問う市民シンポジウム」始まる。約80人を前にピースボートの川崎哲共同代表(47)は「核兵器廃絶についてのメッセージは『私が生きているうちは無理かもしれない』などと中身が乏しい」と厳しく指摘した。

18・30 米国から訪れた日系2世古本武司さん(71)は平和大通りで大統領の演説をラジオで聴いた。カリフォルニア州の日系人強制収容所で生まれ、原爆投下5カ月後に安佐南区に移り、幼少期を過ごした。「被爆者に思いをはせたコメントが印象的」

18・35 平和記念公園の立ち入り制限を解除。

18・55 中国新聞社が大統領訪問を速報する号外1万8千部を中区の紙屋町交差点などで配布=写真。手に取った安佐南区の会社員冨田祐策さん(22)は「広島に暮らす一人としてもっと広島の歩みを学ぼうと思う」と話した。岩国市や福山市でも配布した。

19・10 基町クレド(中区)前にある大型ビジョンで大統領訪問のニュースを見守った中区の会社員友池大介さん(30)は「今日の未来に向けた発言には満足している」。

19・15 大統領が献花した花輪の写真を撮りに市民が原爆慰霊碑前に行列をつくる=写真。中区の坂田多由子さん(88)は「すごい人だかり」と驚きの表情。行列は夜遅くまで続いた。

(2016年5月28日朝刊掲載)

年別アーカイブ