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被爆者ら「勇気に敬意」 オバマ氏広島訪問 福山 盈進中高生、中継見守る

 オバマ米大統領が広島市中区の平和記念公園を訪れ演説を表明した27日、福山市の被爆者たちは「勇気に敬意を表したい」などと受け止めた。同市の盈進中高では生徒が、テレビでオバマ氏の演説を聞いた。(高本友子、細田一歩)

 被爆者の山崎昭治さん(89)は木之庄町の自宅で、テレビ中継を見つめた。オバマ氏の「核兵器を減らしていくべきだ」との言葉にうなずきながら、「オバマさんも分かってくれとる」とつぶやいた。

 山崎さんは、原爆投下の翌日に兄の店がある広島市に向かい、入市被爆した。原爆で義姉とめいを亡くし、20年後に兄もがんで亡くした。「戦争は愚か。平和な日が続いてほしい」と力を込めた。

 福山市内の被爆者と被爆2世でつくる市原爆被害者友の会の藤井悟会長(69)はこの日、同市霞町の中央公園にある原爆死没者慰霊碑を訪れ手を合わせた。オバマ氏の演説を聞いた藤井さんは「米国民の感情がある中、1人の人間として核兵器廃絶を願う気持ちが伝わった」と評価した。

 同会は市内の高校生や大学生との交流を重視し、核兵器廃絶を訴える活動の裾野を若者にも広げている。「大統領の訪問を機会に、米国の若者にも被爆の実態を見て、聞いて、学んでいってほしい」と期待した。

 盈進中高ではヒューマンライツ部や生徒会の生徒約20人が、メモを取るなどしながらオバマ氏の中継を見た。同部はこれまで、被爆者との対話など平和について考える活動を続けてきた。

 部代表の2年芳賀友美さん(16)は「大統領の核兵器廃絶への強い意志を感じた。被爆者との対話で原爆の実相を感じたと思う」と受け止めた。生徒会長の3年宮沢皆都さん(17)は「戦争をしてはいけないという気持ちに安心した。ただ、謝罪の言葉が聞けなかったことにはがっかりした」と話していた。

 福山市の羽田皓市長は「国際社会における核兵器廃絶に向けた動きを前進させる契機となることを期待する」とのコメントを発表した。

(2016年5月28日朝刊掲載)

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