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原爆で焼失 松並木復活へ 広島市東区の饒津神社 19年までに参道へ植樹

浅野家入城400年で計画

 広島市東区二葉の里の饒津(にぎつ)神社が、原爆で焼けた参道の松並木を復活させる。同神社が祭る広島藩主浅野長晟(ながあきら)の広島入城から2019年で400年となり、記念事業として計画する。(奥田美奈子)

 同神社は爆心地の北東約1・8キロにあり、木造の社殿や鳥居などは原爆で全焼した。1835年の創建時に植えられ、参道に20~30本林立していたマツは10本程度を残して焼けた。被爆松も次々に弱り、最後の1本が03年に枯れた。今は切り株を展示する。

 計画では、境内南端から鳥居までの参道約80メートルにマツの木を植樹。戦前に境内で咲いていたハギの花の植栽も検討している。

 同神社は昨年7月、浅野家入城400年記念事業の企画委員会を浅野家ゆかりの人や地元住民たち21人で設立した。31日に拝殿で安全祈願祭を開いて参道の舗装や庭の改修を始め、19年までにマツを植える。

 原爆で全壊した同神社は、1984年に本殿と拝殿、00年に向唐門、05年に鳥居を被爆前の姿に復元。今回の整備は境内再生の集大成となる。

 浅野史政権禰宜(ごんねぎ)(45)は「松並木が戦前のように生い茂るには何十年もかかるが、歴史ある光景を後世に引き継ぎたい」と意欲を見せている。

(2016年5月28日朝刊掲載)

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