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岩国基地 厳戒下の歓迎 オバマ氏広島訪問 不安解消願う声も

 オバマ米大統領が被爆地広島市を訪れた27日、県内の被爆者や、経由した米海兵隊岩国基地がある岩国市民からは、訪問への評価や基地周辺の不安解消への願いなどが聞かれた。基地周辺では県警などが厳重な警備を敷く中、多くの航空ファンも詰め掛けた。

 午後3時半すぎ、専用機で岩国基地に到着したオバマ氏は福田良彦市長らの出迎えを受けた。海兵隊員や海上自衛隊員らを激励後、ヘリコプターに乗り換えて広島へ向かった。

 県警は早朝から約千人を投入し基地周辺を警備。各交差点には警察官が立ち、周辺海上には海上保安庁の巡視船が配置された。滑走路を見渡せる基地北側の市道付近では、身分証明書の掲示や荷物チェックもあった。

 JR岩国駅前で待ち合わせをしていた同市玖珂町の予備校生、中本亜美さん(18)は「基地はあった方がいいと思うが、沖縄のような事件を起こさないよう、大統領にはきちんとやってほしい」。大竹市の会社員渡辺隆さん(62)は「広島訪問はいいことだが、任期もあとわずかなので実績づくりだろう」と話した。

 岩国市山手町の市民会館での「原爆と戦争展」では、広島への原爆投下で伯父を亡くした古川豊子さん(80)=同市南岩国町=が専門学校生たちの前で手記を朗読。終了後、オバマ大統領には「原爆の恐ろしさを胸に刻み、人類の平和を願ってほしい」と語った。

 基地北側の市道や南側の門前川河口付近には、大統領専用機を見ようと約500人が訪れた。周南市福川の中村嘉明さん(75)は「エアフォースワン(大統領専用機)を見る機会はめったにない。思い出にしたい」と話した。広島から戻ったオバマ大統領を乗せた専用機は午後7時すぎ、同基地を離陸した。

(2016年5月28日朝刊掲載)

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