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戦時下の記憶 次世代へ 豊松老人クラブ連合会が寄稿集 広島県神石高原

 神石高原町の豊松老人クラブ連合会が、第2次世界大戦体験者のの寄稿文をまとめた「終戦七十年記念誌 戦時下の体験と記憶」を発行した。「貴重な経験を次世代につなぎたい」と願う。

 豊松地区に住む50人の証言を集めた。骨が折れた傘を差して学校に通い、靴の裏側のゴムで消しゴムを代用した体験などが並ぶ。満蒙開拓青少年義勇軍に参加し、仲間と「一生の最後にもう一度、腹いっぱい食べたい」と語った思い出もある。

 戦時下の学校生活について寄稿した森上敏成さん(84)は「厳しい生活の中にも、皆でものを分かち合う日本人の美徳があった」と振り返る。

 B5判、132ページ。戦時下で使われた用語の解説や当時を振り返る写真も載せた。700部発行し、町内の小学校や公民館、豊松地区内の全505世帯に配布した。

 連合会の次重寛禧会長(80)は「現在の裕福な生活が当たり前ではないことが分かるはず。子どもの平和学習にも役立ててほしい」と話している。(細田一歩)

(2016年5月31日朝刊掲載)

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