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戦犯を釈放 比大統領顕彰 加納莞蕾が恩赦嘆願 東京に碑完成 親族が交流

 太平洋戦争後に日本人戦犯へ恩赦を与えたフィリピンの故エルピディオ・キリノ大統領の顕彰碑が東京都千代田区の日比谷公園に完成し18日、除幕式があった。恩赦を嘆願した安来市出身の画家加納莞蕾(かんらい)の遺族も招かれ、大統領の親族と交流した。

 顕彰碑は、両国の国交正常化60年に合わせ、莞蕾作品を管理する加納美術振興財団など関係者の寄付で建った。大統領の顔の浮き彫りが据え付けられ、恩赦時の声明文などが刻まれている。

 約150人が出席した除幕式で、大統領の孫ルビー・キリノさん(62)は「祖父の人道的決断が両国の友好関係の礎になったと思う」とあいさつ。式後、莞蕾の四女加納佳世子さん(71)=安来市=はルビーさんと手を取り合い、「大統領と父は天国でにこやかに過ごしている」と喜んだ。

 莞蕾は知人を救おうと嘆願を続け、大統領は妻と子どもを日本兵に殺されていたが、1953年に収監者105人を恩赦で釈放した。(清水大慈)

(2016年6月19日朝刊掲載)

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