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「ゲン」や「アオギリ」題材 広島市教委 平和テキスト発表

 広島市教委は18日、2013年度から実施する市独自の平和教育プログラムのテキストを発表した。小学校から高校まで4段階に分けて作成。小学生向けに被爆後の広島でたくましく生きる少年の姿を描いた漫画「はだしのゲン」を採用した。本年度はモデル校の小中高計10校でテキストを使って授業する。

 テキストはこの日、中区役所であった市教育委員会議で試案として示された。小学1~3年、同4~6年、中学、高校向けの4種類で各31ページ。はだしのゲンは小学3年向けで登場する。同世代のゲンの物語から被爆者の思いを感じ、家族の命を奪った戦争の悲惨さを考えてもらう。

 題材はこのほか、被爆後に芽を出したアオギリ(小学2年)▽佐々木禎子さんと折り鶴(中学2年)▽ヒロシマに寄せた世界のメッセージ(高校2年)―など。被爆の実態や戦後復興の歩みについて発達段階に応じたテーマを選んだ。理解し、感じたことを書き込むスペースも設けた。

 モデル校は5~9月、テキストを使って授業をする。教諭の意見や児童、生徒の反応を聞き取り、内容や指導方法を改善。来年度から市立の全小中高校で本格的に実施する。

 市教委は被爆体験の継承が課題となる中、独自のプログラム導入を計画した。「単なる知識だけでなく、平和な世界の実現に向けて何が必要かを自ら考える力を養いたい」としている。(胡子洋)

(2012年4月19日朝刊掲載)

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