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因島被爆者の会が解散 高齢化で活動困難 府中市の会も来月 広島

 広島県尾道市因島の被爆者でつくる「因島地区原爆被害者友の会」が29日、解散した。府中市の「府中市原爆被害者の会」も、7月の活動を最後に解散することを決めた。ともに会員の高齢化で活動を継続するのが困難になった。

 因島の会は29日、尾道市因島土生町、土生公民館で総会を開いた。全会員37人中、9人が出席。欠席した13人の委任状を含めて、満場一致で決めた。同会は被爆2世の会の立ち上げや、市内の別の被爆者団体への編入なども模索。だが、会員が減り、高齢化で総会への出席率も下がっており断念した。

 1961年に134人で発足。8月6日の平和記念式典への参列や、原爆のパネル展の開催などを続けてきた。村上秀雄会長(89)は「苦渋の決断だが、続けるのは体力的に難しい」と肩を落とした。今後、個別に地元の学校などで被爆体験の講話などをする。

 尾道市内では現在、尾道地区原爆被害者の会と御調町原爆被害者協議会の2団体が活動する。

 府中市の会の解散は6月1日の総会で決めた。会長として5年間活動を支えた中村博さんが4月に死去。後継者が見つからなかった。

 8月6日の式典への参加や被爆体験の証言活動などを続けてきた。86年に630人いた会員は現在222人。2010年から被爆2世にも門戸を開いたが、加入はなかった。

 来月7日に市内である被爆証言を最後の活動とし、残務整理後に解散する。石津高弘副会長(81)は「体験継承活動を続けたかった。断腸の思いだ」と話している。

 広島県被団協の坪井直理事長(91)は「団体はなくなっても、今後も核兵器廃絶を訴える力となってほしい」と話す。(新山京子、筒井晴信)

(2016年6月30日朝刊掲載)

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