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東アジアの現状見つめる 広島でシンポ 核なき世界を模索

 国際シンポジウム「危機の東アジア―『核なき世界』に向けて」が23日、広島市中区の広島国際会議場であった。広島市立大と長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA)、中国新聞社の主催。オバマ米大統領の歴史的な広島訪問の一方、北朝鮮の核実験強行など厳しさを増す地域の現状をどう考えるか、探った。

 235人を前に、関西学院大の平岩俊司教授が「金正恩(キム・ジョンウン)体制と東アジア国際関係」をテーマに基調講演した。北朝鮮にとって自ら核やミサイルを手にすることは、「米国の脅威」への対応を可能にし、従来の「先軍政治」から「平時」の体制を確立する根拠だと強調。「彼らには彼らのロジックがある。金正恩体制は気まぐれで動いているのではない」とし、核放棄を求める側との認識のずれをまず知る必要性を説いた。

 北朝鮮に影響力を持つ中国の視点から、早稲田大の青山瑠妙教授が報告。「一貫して朝鮮半島の非核化という目標を日米と共有する半面、経済的に相互依存関係にある北朝鮮の経済制裁は自国にも影響する」というジレンマを指摘した。

 韓国の世宗研究所の白鶴淳(ペク・ハクスン)副所長は、対北朝鮮の「制裁と圧力」が効果を上げていない現実を直視して対話の道を探るべきだと訴えた。RECNAの広瀬訓・副センター長も、交渉と対話の糸口を探り、核放棄こそ利点があると北朝鮮に示すことが大切だとした。

 中国新聞社の東海右佐衛門直柄論説委員はオバマ氏の広島訪問を総括。「今こそオバマ氏頼みではない核兵器廃絶への戦略を」と呼び掛けた。5人はさらにパネル討論で議論を深めた。(金崎由美)

(2016年7月24日朝刊掲載)

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